総合的な心身の健康を志向するサンスターの全方位的なアプローチです。Holistic Health Careでは、日常生活のあらゆる面にわたって一貫したアプローチを行います。当社の社名が示すとおり、サンスターは、朝、太陽が昇ってから、夜になり星が出るまで、一日を通じてお客様をサポートします。
R&D Story 08
世界の自動車イノベーションを
支える接着剤技術
「接着剤」は自動車製造を
陰で支える立役者
サンスター技研は、建築や自動車製造に使われる接着剤・シーリング材・コーティング材を開発してきました。「ペンギンセメント332」を開発し、自動車用接着剤に進出したのは1964年。以来、自動車製造に関するあらゆる工程に適した接着剤・シーリング材を開発する技術を持つ数少ないメーカーとして研究開発を続けています。中でも、ここ数年で開発が進められているのが「ウェルドボンド用接着剤」です。
2016年の世界の自動車販売は約 9,000 万台以上で、2010年から7年連続で増加傾向にあります。この巨大市場では世界中で環境負荷物質の低減や燃費向上の為の技術開発が進んでおり、自動車メーカーは車体の軽量化に取り組み、ボディー設計には様々な革新が起きています。その中で、自動車構造材のマルチマテリアル化が起き、鉄鋼からアルミニウムやマグネシウム、有機化合物との複合材等の軽量化素材の比率が増加しています。このような軽量化を目的とした素材の多様化が進む中で、重要な役割を果たすのが自動車用接着剤なのです。
*現在では自動車用接着剤・シーリング材は、自動車の各部位で利用されています。ヘミング用接着剤、マスチック接着剤、スポットシーリング材、ボディーシーラー(ペイントシーラー)、アンダーボディーコート(UBC)ダイレクトグレージング用接着剤など、様々な用途に合わせて開発を進めてきました。
軽量化する自動車に合わせ、
独自開発の成分で高い接着性と
耐久性を実現
- 燃費効率への需要の高まり
- 軽量化される車体
- 強度は低くなりがちに
- 自動車用接着剤は強度を高める
自動車の燃費をより良くするためには軽量化が必要です。自動車を軽量化するために、使用する鋼板を薄くしていかなければなりません。ただ、鋼板が薄くなれば、それだけ自動車の剛性(曲げ・ねじりなどの力に対して歪まない性質)は下がってしまいます。
ウェルドボンド用接着剤は自動車の車体剛性や強度を確保するためにスポット溶接と接着剤を併用したウェルドボンド工法に用いられます。
ウェルドボンド用接着剤を使用することで、スポット溶接単独の点接合から面接合になり、溶接部への応力集中を防ぎ、耐久性や剛性の向上が可能となります。
車体剛性を上げることができるため鋼板の薄板化や部品点数の削減が可能となり、自動車の軽量化に寄与します。
ウェルドボンド用接着剤は自動車の生産工程に適した作業性が求められます
*ウェルドボンド用接着剤で面接合を行うことにより、耐久性や剛性の向上が可能となります。
ウェルドボンド用接着剤は自動車の生産工程に適した作業性が求められます
ウェルドボンド用接着剤は高い接着性と剛性を付与するため、主成分としてエポキシ樹脂を使用しています。ドアパネル等の接合に使用されるヘミング用接着剤も同様にエポキシ系接着剤ですが、ウェルドボンド用接着剤は振動や歪みに対する高い耐久性が要求されます。
サンスター技研が開発するウェルドボンド用接着剤は、特殊なゴムで変性した成分を配合し、強靭性を付与することで高い耐久性を実現しています。
ウェルドボンドあり
ウェルドボンドなし
*ウェルドボンド用接着剤とスポット溶接を併用することにより、スポット溶接単独よりも、板をねじったときの板の強さ(ねじり剛性)は高まる。また例え板が薄くても、ウェルドボンド用接着剤を併用すれば、厚い板と同程度のねじり剛性を持つことが可能になる。
自動車に関わるあらゆる接着剤を生産する数少ないメーカー
各生産工程に対応する多種類の製品開発と、要求以上の品質検査
もし、接着剤に不備があれば、完成した自動車に乗車している人の安全性が損なわれます。そのため、サンスター技研の研究者たちは過去の経験からテストする項目を設定した「危険予知試験」を実施しています。例えば、接着剤の長期保管を想定して行う保存安定性試験では長期保管した後の性状や性能を評価して、長期保管前と品質が変わらないことを確認しています。たとえ想定外の使い方をしたとしても問題が起こらないようにテストを繰り返し開発してきました。
くさび衝撃試験
*接合部を高速で引裂くことにより、接着剤の衝撃への耐性を評価する。
ウェルドボンド用接着剤は自動車の生産工程に適した作業性が求められます。例えば、車体工程ではスポット溶接によりボディーの組付けが行われます。ウェルドボンド用接着剤は溶接される鋼板の間に使用されるため、スポット溶接を阻害しないことが求められます。また、塗装工程での湯洗やシャワー時の水圧で、接着剤の流出や変形が起こらないことも必要です。
さらに、電着塗装の焼き付け(電着作用によって金属表面に塗料や樹脂の塗装膜を作ること)と同時に硬化することが必要で、近年では低温短時間で硬化させるニーズが増えてきています。サンスター技研では自動車生産工程に適合させるだけでなく、低温速硬化技術により、硬化炉温度を下げ、加熱時間を短縮することで省エネルギー化にも貢献するウェルドボンド用接着剤を開発しています。
自動車製造ライン
赤は接着剤が使用される工程
自動車づくりの工程全体に関わっているサンスター技研だからこそ、製造工程の変化に対応した、製品開発が可能
サンスター技研は自動車製造の工程全体に関わっているため、自動車づくりの変化を把握しながら製品を開発することが可能です。生産工程や素材が変化した際に、いち早く対応してきました。ウェルドボンド用接着剤も、自動車の軽量化が進むという変化を掴み、数年かけて開発を行った事例のひとつです。
グローバルでR&Dの連携を行い、海外市場を拡大
サンスター技研は、自動車製造の全工程に使用されている接着剤を提供していることを強みに、研究開発を進めています。
これまで、サンスター技研が開発する自動車用接着剤は、主に日本系自動車メーカーに採用されてきたため、日本を中心に研究開発を行ってきました。しかし、近年では日本以外のメーカーでの採用も増え、世界各地の拠点で積極的に研究開発を行っています。依然として、日系メーカーのシェアが高い状況にありますが、欧米や中国への進出を中心に、グローバル展開が進んでいます。
世界に散らばる開発拠点で実施している開発には共通点も多く、ここ数年は各拠点の研究メンバー同士の交流も盛んに行っています。研究メンバーが集まってR&Dのミーティングを行い、自動車用接着剤の技術をグローバルで共有、技術員を交互に派遣しながら、互いの考え方や研究のスタイルを把握し、研究開発のプロセスをより効率の良いものに変えていくことに挑戦しています。
現在は欧州市場の拡大を視野に入れており、近い将来には、欧州にも研究開発の新拠点を設立するための準備を進めています。

変化の激しい自動車製造に伴走して新たな接着剤開発に挑戦
自動車産業は近年激しい変化が続いています。今まで以上にハイブリッドカーや電気自動車の開発が増え、自動運転車の開発も活発化していくのに合わせ、接着剤も常に変化していく必要が出てきています。サンスター技研では、この変化に対応すべく柔軟に製品の開発をしてきました。
これまでの自動車用接着剤は、接着性や耐久性などが重視されてきましたが、これから先は自動車の安全性や快適性に貢献する接着剤が求められます。消費者、自動車メーカーの変化するニーズに柔軟に対応し、時代に合った製品を提供し続けるために、日々新たな目線で接着剤の開発を行っています。
変化するニーズを把握し柔軟に対応。時代に合った製品を提供
これまでの自動車用接着剤は、接着性や耐久性などが重視されてきましたが、これから先は自動車の安全性や快適性に貢献する接着剤が求められます。消費者、自動車メーカーの変化するニーズに柔軟に対応し、時代に合った製品を提供し続けるために、日々新たな目線で接着剤の開発を行っています。
製品詳細

Penguin Cement SWシリーズ
サンスター技研では車体剛性を付与する接着剤、アルミなどの異材接合が可能な接着剤や自動車の衝突時に応力を緩和させる高靭性接着剤など、様々な用途に合わせた接着剤を取り揃えています。
