気候変動対応
考え方・背景
地球の温暖化による異常気象や自然災害による環境破壊の問題や経済活動への影響は、年を追うごとに深刻さを増しています。そのような中、企業活動においてもCO₂排出削減は喫緊の課題です。サンスターグループでは、各国の拠点ごとに再生可能エネルギーの導入や太陽光発電設備の導入、照明のLED化や生産設備のエネルギー利用効率向上、社有車の電動化などを計画的に実行し、気候変動への対応を進めています。
環境中長期目標と実績
* 集計範囲:グループグローバル自社工場のデータを統合。消費財米国工場は電力、水、CO₂のみ、ツバメックス社は電力、CO₂のみを集計。
消費財事業=オーラルケア製品、化粧品、健康食品などの生活者向け製品関連事業
生産財事業=自動車・建築・電子機器用接着剤・シーリング材、バイク・自動車用金属部品などの産業用製品関連事業、トーヨーポリマー社除く
* 全体評価の判定基準:◎計画以上、○ほぼ計画通り進捗、△計画未達だが進展あり、×現状より悪化
*8 消費財は米国生産拠点、日本・米州・欧州自社オフィス含む
*9 基準年:消費財事業2020年、生産財事業2019年(2020年顧客企業群が大幅減産年となったため)
※実績詳細は「環境データ」ご参照
Scope3算定の推進(グローバル)
自社内で発生するCO2排出量(Scope1,2)のグループグローバルの算定・開示に加え、社外の事業活動で発生するCO2排出量(Scope3)の算定も順次開始しています。以下のグラフは、日本エリアの2024年のScope1,2,3全体のCO2排出量とその比率です。Scope3の中で排出量の多いカテゴリー1(原材料製造)の一次データ収集範囲を拡大、データ精緻化、取引先様のCO2排出削減努力により、前年に比べ10,000トン以上排出量が下がっています。また、環境負荷の低い原材料の採用、製品の環境配慮設計、生産性向上や工場廃棄物の削減、物流効率向上にも取り組んでいます。2025年には、米州、欧州、アジアを含む全社でScope3の算定を進めています。
<日本エリア全体>
<日本・消費財事業*>
<日本・生産財事業*>
*消費財事業=オーラルケア製品、化粧品、健康食品などの生活者向け製品関連事業
*生産財事業=自動車・建築・電子機器用接着剤・シーリング材、バイク・自動車用金属部品などの産業用製品関連事業(ツバメックス社を除く)
取り組み事例紹介
効率的なエネルギー利用と原材料の地域調達によるCO2排出削減(欧州)
ドイツのハブラシ・歯間ブラシ工場では、エネルギーの効率的な利用と持続可能な調達を通じてCO₂排出量の削減を推進しています。
廃熱回収システムにより施設の暖房に利用し、年間最大50,000リットルの石油を節約。これは140世帯分の電力使用量に相当します。工場機械の断熱化や照明の99%をLED化などの追加対策により、エネルギー消費量をさらに削減しています。
太陽光発電パネル、河川水による冷却システム、原材料の80%以上を500km圏内で調達するなど、地域サプライヤーを支援しながら排出量削減を継続しています。
再生可能エネルギーの採用拡大(グローバル)
欧州では、スイス本社は再生可能電力のみで稼働し、ドイツのハブラシ・歯間ブラシ工場は屋上太陽光発電で15%の電力を賄い、残りの電力を100%水力発電で電力を賄っています。ドイツの接着剤工場とシンガポールの接着剤・金属部品工場では2023年に太陽光パネルを設置し、各工場で使用する電力の30~50%を供給しています。屋上太陽光発電パネルと100%LED照明を導入した山梨工場では、電力の9%を自社発電で賄っています。今後も再生可能電力による自家発電の拡大を進めます。
さらに、電力会社から調達する電力についても2024年から2025年にかけて日本、米州、アジアで再生可能電力への切り替えを急速に拡大しており、2025年の目標達成を目指します。
米国拠点で再生可能電力調達拡大(米州)
米国シカゴ郊外のショーンバーグのオフィス・工場・開発センターで2025年から再生可能エネルギー証書(RECs)の購入を開始しました。米国拠点での年間再生可能電力使用率は65%となります。二酸化炭素排出量の削減と、よりクリーンなエネルギー源への移行に向けた当社の継続的な取り組みを反映しています。
異業種との共同物流によるCO₂排出削減(日本)
製品配送時の効率向上と環境負荷低減を目指して異業種との共同物流に取り組んでいます。トラック1台当たりの積載率を高めることでトラックの台数を削減しCO₂排出も抑える取り組みとして、企業間の連携を進めています。
工場設備の更新・効率運用によるCO₂削減(日本)
ハブラシ、歯間ブラシを生産する徳島工場内では、使用する照明器具のLED化、工場設備や空調機器の省エネ機器への入れ替え、空気流量計による生産設備のエアー漏れ検知と運用改善により、電力使用量を2021年は前年比300,000kWh削減、2022年までCO₂を年60トン削減しました。2024年度も工場内の照明のLED化や社用車のハイブリッド化を進めています。同様に ハミガキを生産する高槻工場や金属部品を生産する滋賀工場でも、照明のLED化やフォークリフトの電動化など、化石燃料を使わない仕様に切替え、再生可能エネルギー調達とあわせて環境負荷低減に努めています。
自然河川冷却による電力使用量削減(欧州)
ドイツのハブラシ・歯間ブラシ工場では、近隣の河川から冷水を引いて機械や金型の温度調節に活用しています。このシステムは厳格な水温・水量管理のもと慎重に運用され、環境保護を確保しています。
製造2030プラットフォームによる取引先の支援(米州)
サンスターは、取引先のサステナビリティ目標達成を支援しています。製造2030プラットフォームを通じて、スコープ3 CO₂削減の共同取り組み、環境配慮型ソリューションの提供、ESGデータとベストプラクティスの共有を推進します。