R&D Story 05

進化する電子機器を陰で支える技術

現代の日常生活に欠かせない電子機器。常にモノづくりにこだわる姿勢を持ち、時代ごとの需要に応じた製品を開発してきたサンスター技研は、品質の高い素材を開発し、社会の発展と環境負荷軽減に貢献しています。

電子機器の進化を可能にする立役者

日々の生活に欠かせない電化製品は、進化し続けています。電話ひとつ取っても、固定電話から携帯電話、そしてスマートフォンへと、わずか20年ほどで形態も機能も大きく変わりました。小型化、精密化、多機能化していく電子機器の進化を支え、可能にしているのが、技術や部品の進歩です。

サンスターでは、時代ごとのニーズに応じて日常生活に寄り添う製品を多く開発してきました。自転車のゴムのりの製造販売から事業を始め、自動車用接着剤や建築用材料のシーリング材など、多様な分野で接着剤製造の技術や経験を生かした製品をつくっています。

Technology that Enables the Progress of Electronic Devices

  • 1932年
  • 現在
  • 自転車タイヤチューブ用ゴム糊
  • 自動車用接着剤
  • 建築用シーリング材
  • 回路基板用アンダーフィル

時代ごとのニーズに応じて日常生活に寄り添う製品を多く開発しています

技術の時代に求められている「接着剤」

スマートフォンのように高機能化した電子機器が増えるなかで求められているのが、集積回路などの小型精密部品を保護する接着剤です。

Adhesives of the Technology Era

  • With Underfill

    アンダーフィルあり

  • Without Underfill

    アンダーフィルなし

アンダーフィル材は集積回路を覆い固めて保護する

スマートフォンには、落としたりしても電子部品が破損しないよう、衝撃や熱から電子部品を保護する接着剤が必要不可欠です。電子基板と電子部品の接続部分であるハンダが衝撃や熱で割れないように保護する接着剤は、「アンダーフィル材」と呼ばれ、これがなければ、便利なスマートフォンもすぐ壊れてしまいます。携帯機器が精密化するにつれて需要が高まってきたため、生産性や環境にやさしいアンダーフィル材を求めて、サンスター技研は20年ほど前から研究開発を続けてきました。

アンダーフィル材に求められる3つの大切な要素

アンダーフィル材には3つの大切な要素が求められます。落としたときに生じる衝撃に対する強さ(耐衝撃耐性)、電子部品から生じる熱や気温の変化に対する強さ(耐温度サイクル性)、そして電子機器の生産過程で出る不良品や市場での故障品を修理をする際の外しやすさ(リワーク性)です。

  • Reworkability

    リワーク性

  • Shock resistance

    耐衝撃耐性

  • Thermal-cycle resistance

    耐温度サイクル性

すべての要素を満たすことが求められる一方、各要素は性質が相反するため各要素に対応する素材の開発は困難だとされてきました。耐衝撃性には、衝撃を受けても破損しない強靭さと、衝撃を吸収しつつ基板の変形に適応する柔軟性が求められます。一方で、耐温度サイクル性には温度の変化で膨張収縮しにくい素材が最適です。研究開発チームは試行錯誤を重ねながら、一見不可能とも思える困難な状況を突破していきました。

前例のない分野で、新しい素材をつくる

電子機器は次々と新製品が開発されるため、標準的な強度や耐久性などが明確に規定されていない素材を求められることも珍しくありません。
科学文献や、専門の研究者へ調査を重ねた結果、固くて脆いエポキシ樹脂に耐衝撃性を付加したアンダーフィル材の開発が始まりました。

アンダーフィルに微小なゴム成分を配合し、耐衝撃性を向上させることを試みましたが、反面、粘度が上昇し、電子基板に塗布した際の生産性が低下するという課題がありました。こうした課題を解決していくべく、素材の配合を調整しながら落下試験や温度サイクル試験などを繰り返すことで、求めている性質に近づけていいます。まさに創造の世界です。

Creating Innovative Materials in Unprecedented Fields

Creating Innovative Materials in Unprecedented Fields

Creating Innovative Materials in Unprecedented Fields

150~170cmからの落下試験

衝撃が加わったときに電子回路が十分保護されているかを確認するために落下試験を行います。回路に電気を流したまま落下させ、落下後の電気抵抗とアンダーフィルの亀裂の有無を確かめます。素材の調整を行いながら基板の落下試験から始めて、素材が出来上がると、携帯電話に組み込んだ状態での試験に移ります。立ってスマートフォンを耳に当てている状態を想定して150~170センチメートルの高さからコンクリートの地面に落とします。落下面の角度を変えて落下させ、繰返しの落下衝撃に耐久することを確認します。

Drop Shock Test from 150 - 170 cm

-40度から85度の温度サイクル試験

極度の気温変化のなかでも回路がきちんと機能するかを確かめる試験です。ケーブルにつなぎ、通電させたまま評価装置に入れ、-40度から85度のサイクルを1000から3000回繰り返し、回路に支障がないかを確かめます。

*これらのテストはサンスター自主基準で行っております。

40℃ to 85℃

1027Sアンダーフィル材

こうした試行錯誤を重ねて生まれたのが、衝撃に強いエポキシ系アンダーフィル材1027Sです。衝撃に対する応力を軽減し、割れにくくなっただけでなく、粘度を低く抑えることで使いやすくなり生産性の向上が可能となりました。衝撃から集積回路を守る事で携帯機器の寿命を延ばし、生産性も高めたアンダーフィル材は、大手企業のスマートフォンほか、ゲーム機やウェアラブル端末でも使用されています。

1027S Circuit Board Underfill

1027S Circuit Board Underfill

1027S Circuit Board Underfill

環境負荷低減に貢献するアンダーフィル材
機器を生産するためには膨大なエネルギーが必要になります。

Underfill With Reduced Environmental Impact

私たちは省エネルギー化にも貢献しています

サンスター技研が開発する技術は、省エネも追求しています。サンスターが開発したアミン硬化剤は、80度の熱の中に数分間加熱するだけで硬化し、保存安定性に優れています。これにより、従来の接着剤と比較して低温短時間での硬化が可能となり、硬化炉の設定温度を下げ、加熱時間を短縮することで電子機器の生産過程における省エネ化に貢献しました。

生産時のエネルギーを削減するだけではなく、廃棄物の削減にも貢献しています。ウレタン系アンダーフィル材はゴムのように柔らかい素材のため、リワーク性に優れています。扱い易い為、生産過程で出る不良部品や修理の必要な部品の再利用率が上がり、廃棄される基盤を減らしています。サンスター技研が開発するアンダーフィル材は、人々の便利な暮らしを支えるだけではなく環境にもやさしい素材なのです。

社会と環境のためにさらなる品質の追求を目指して

品質の良いアンダーフィル材が世界的に使用されると、生産過程のエネルギーや廃棄の削減につなげることができます。世界中で使用される素材とするために、 世界各地にある大規模工場での生産を念頭に置き、低粘度、長期的な保存安定性、そして多様な使用環境に耐えうる物性を持ち合わせた、生産性の高い商品を開発していく予定です。


製品詳細

Penguin Cement 1027S

ペンギンセメント1027S

ペンギンセメント1027Sは耐衝撃性に優れており、はんだ接合部の接続信頼性を向上させることが出来ます。低粘度に設計されているため、部品間への浸透速度が速く、生産性の向上が期待できます。また、リワーク性を有しており、硬化後においても部品の交換が可能で廃棄物削減に貢献します。

*この製品は法人のお客様への販売のみとなります。

ペンギンセメント1027Sの製品紹介ページ(日本)

Penguin Cement 1027S

Holistic Health Care

総合的な心身の健康を志向するサンスターの全方位的なアプローチです。Holistic Health Careでは、日常生活のあらゆる面にわたって一貫したアプローチを行います。当社の社名が示すとおり、サンスターは、朝、太陽が昇ってから、夜になり星が出るまで、一日を通じてお客様をサポートします。