R&D Story 04

日本古来の素材 玄米を使った
栄養バランスのサポート

玄米菜食は伝統的な日本の食事スタイルで、低カロリーながら栄養をバランス良く取ることができます。サンスターでは手軽に栄養バランスを整え食生活を改善できるように、玄米の栄養が詰まった商品を開発・販売してきました。

玄米菜食は日本の食事の基本だった

世界の平均寿命71.4歳に対して、日本の平均寿命は83.7歳。世界一の長寿の国として知られています。サンスターの創業地でもある日本では、かつて玄米に野菜のおかずを添えた栄養バランスのいい玄米菜食を食事の基本としていました。玄米は、糖質に加えて食物繊維、マグネシウム、ビタミンB6など体に必要な栄養素が多く含まれる栄養価の高い食材です。


*参考文献: World Health Statistics 2016: Monitoring health for the SDGs

しかし、こうした食生活にも変化が訪れます。20世紀半ばに高収量品種や化学肥料の導入で穀物の大量生産を達成した緑の革命(green revolution)のころから、精製度の高い炭水化物が食生活の中心となりました。現在、世界的に全粒穀物の摂取が推奨されていますが、たくさんの精製度の高い炭水化物と脂質が摂取されており、生活習慣病を増加させる一因となっています。

This is the base for ever increasing non-communicative diseases.

This is the base for ever increasing non-communicative diseases.

玄米食が人々の健康をサポートする

日本でも同じころに伝統的な食生活が崩れ始め、病気になる人が増えてきました。食事が外食化してしまったことと相まって、日本人の健康に貢献していたはずの食事が、逆に健康を害するようになってしまったのです。

サンスター2代目経営者の金田博夫もこの時代を生きた人。金田が社員の健康のために奔走するなかで、身をもって実感したのが玄米食の素晴らしさでした。大切な社員の健康向上を図るために金田が創設したサンスターの社員の福利厚生施設「心身健康道場」では創立当時から玄米菜食やエクササイズなどを取り入れた3日間の健康増進プログラムを導入し、多くのスタッフも体質の改善を実感してきました。
かつて日本の食事の基本となっていた玄米食を推奨することで、社員が健康を取り戻したのを目にした金田は、その素晴らしさをより多くの方々に広めることに挑戦します。

Having witnessed the impact of traditional brown rice meals on his employees’ health, Kaneda decided to share this knowledge with everyone.

玄米食は科学的にも証明された
健康食

「心身健康道場」でスタッフが体験した体質改善は、科学的にも証明されています。玄米食の効能は、大学とサンスターの共同研究で明らかになりました。

この研究では生活習慣病予備群のボランティアが玄米を含む高繊維低脂質の食事を1日3食、8週間食べ続けました。すると、体重や糖尿病、体内の炎症、歯周病の兆候を示すマーカーの指数が有意に改善しました。玄米食を代表とする高繊維低脂質の食事を取ることで、体全体や口腔の健康に作用することが科学的にも証明されたのです。

8週間後、体重が優位に改善しました

  • Week 0
    0週間=いつもの食事
  • Weeks 0 to 8
    0~8週間=玄米を含む食事
  • Weeks 8 to 32
    8~32週間=いつもの食事

血中グルコース(mmol/l)

(min)

graph

*Nutrition Research 34 491-498 (2014)(P.496)

75gのブドウ糖を摂取した後の血中グルコース濃度の変化を0週目、8週目、32週目で比較すると、8週目で有意に低下していた。

玄米の栄養素の80% を含むスーパー素材「米糠」

もう少し詳しく、玄米について見ていきましょう。玄米に含まれる栄養素の約80%は、玄米の表面を覆っている「米糠(胚芽と果皮)」に含まれています。糖質が多く含まれる白米の部分を除去しているため、米糠は糖質が低く栄養素や繊維質の豊富な素晴らしい食材なのです。

Rice bran, a superfood packed with 80% of the nutrients of brown rice

Rice bran, a superfood packed with 80% of the nutrients of brown rice

半脱脂米糠10グラム中の栄養素*

  • Fiber

    食物繊維

    オートミール大さじ5.5杯

  • Potassium

    カリウム

    レーズン大さじ2.5杯分

  • Calcium

    カルシウム

    ヨーグルト小さじ1杯分

  • Magnesium

    マグネシウム

    カシューナッツ38粒分

  • Iron

    ほうれん草4分の1束もしくは0.3束分

  • Vitamin B2

    ビタミンB2

    アスパラガス1.5本

  • Vitamin B6

    ビタミンB6

    ゴマ大さじ6杯分

  • Vitamin E

    ビタミンE

    アーモンド1粒分

*米糠を加熱殺菌し、余分な油分を絞り出したもの

  • Research facility at Sunstar’s research institute in the Asahi-machi office in Osaka.
  • Research facility at Sunstar’s research institute in the Asahi-machi office in Osaka.
  • Advanced Glycation Endproducts (AGE) reader that measures cellular glycation levels.

(左・右上)研究所の研究風景

(右下)肌の糖化度を計測するためのAGEリーダー

米糠を有効活用するための商品開発に挑戦

Challenges to develop products that use rice bran effectively


食だけではなく、生活の様々な場面で活躍する米糠。それが現代では、飼料・肥料・米油として使用される以外、ほとんどが廃棄されています。その理由は、栄養素が豊富なために虫がつきやすく、酸化しやすいために素材として扱いにくく、味や口に残る固い食感が敬遠されるからです。

Challenges to develop products that use rice bran effectively

米糠はポテンシャルが高いにも関わらず、うまく使われていないのです。「米糠を活かさないのはもったいない」そう考えたサンスターの研究開発チームは、食生活の改善を通して包括的に人の健康をサポートする「ホリスティック」という事業コンセプトの元、商品開発に向けて立ち上がりました。

米糠商品の開発を可能にした加工技術

商品開発のために重要な役割を持つのが、米糠の加工技術。かつて、玄米が科学的にも健康食であることを証明したサンスターは、他社と共同で米糠を加工する技術を開発しました。

Processing technology that enabled the development of rice bran products

Processing technology that enabled the development of rice bran products

  • 玄米と籾殻
  • 玄米
  • 米糠
  • 定量供給機
  • 殺菌クッキング工程
  • 連続圧搾機
  • ロール機(粗粉砕)
  • 製品ホッパー
  • 気流粉砕(微粉砕)
加工された米糠

STEP 1

加熱による米糠安定化

高温で米糠を殺菌し、酸化の原因となるリパーゼという酵素を失活させます。高温で失われるビタミンなどの栄養素を保つための温度調整が重要です

STEP 2

油分を分離する圧搾

酸化の原因にもなる米糠の油には、不飽和脂肪酸など、からだに良い成分も多く含まれています。余分な油分のみを圧搾分離し、栄養分をできる限り米糠に残します。

STEP 3

食感を良くする粉砕

粉砕機を使って、食感を残した粒径50~60umと、きめ細やかな粉末状の粒径10~15umの2種類のサイズに粉砕します。

手軽に玄米の高い栄養素を取れる
商品の開発

「玄米は健康に良い」と思っている人々がいる一方で、玄米ごはんにはネガティブな側面(味、手間 等 )もあり、あまり食べられていませんでした。加工技術を開発したサンスターは、「茶碗一杯分の玄米に含まれる栄養素をカロリー抜きで手軽に取れる商品」をコンセプトに、商品開発を開始。

忙しい現代人でも、健康的な食事を続けられるように、美味しく気軽に食べられることを重視。1サービングで1膳分の栄養がとれるというコンセプトを軸に様々なプロトタイプの開発を経て、「飲む(ドリンク)」一膳分※と「かける(食事)」一膳分※のシリーズを最終的に商品化しました。

※1膳とは日本でいう茶碗一杯分(約150g)という意味で、一回の食事に食べるご飯の量を表しています。

玄米の栄養素を手軽に
「飲む」、「かける」シリーズ

Nomu Ichizen
飲む一膳分

玄米の栄養を手軽に補給できるよう細かい粉末状の半脱脂米糠をドリンクにしたことが、商品開発の突破口となりました。 さらに大豆の栄養も取れるように豆乳を入れ、口当たりがマイルドになるように乳化を行っています。研究開発の結果生まれた商品は、現在販売されているドリンク状米糠商品の先駆けとなっています。

Nomu Ichizen

Kakeru Ichizen

かける一膳分

ドリンク状の商品の他に、ご飯にかけるタイプの商品も開発しました。食感を残した半脱脂米糠を配合しています。そのため、食べごたえがあり動物性原料不使用で低カロリーにもかかわらず満足感が得られます。

米糠を世界へ

日本の伝統的な食生活であった玄米食を現代に復活させたサンスター。研究開発チームの試行錯誤の末に生まれた米糠商品は、日本だけでなく海外への展開も見据えています。飲む米糠は、必要に応じて現地の味覚に合う味付けに調整しながら、今後シンガポールを中心にアジア各地に展開していく予定です。

私たちの製品が世界の人々の健康につながると信じています

サンスターではこれからも米糠の研究を行い、新たな機能性の追求とともに消費者の声を反映させたさらなる米糠商品の開発を目指していきます。


製品詳細

KENKODOJO Brown Rice & Soy Drink

KENKODOJO Brown Rice & Soy Drink

This unique drink combines rice bran, full of essential nutrients and bioactive components, and soy, a high-quality vegetable protein source. Both ingredients are important pillars of the balanced Japanese diet, said to be one of the sources of Japanese longevity and quality of life. To give this combination a mild and harmonious taste, this drink is lightly enriched with a banana and almond touch.

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KENKODOJO Brown Rice & Soy Drink


参考文献

  • 2015

    Yonei Y, Yagi M, Hamada U, Imamura I, Okamura S, Yamamoto K, Matsumoto M. 2015. A placebo-controlled, randomized, single-blind, parallel-group comparative study to evaluate the anti-glycation effect of a functional soymilk beverage supplemented with rice bran/rice bran oil. Glycative Stress Research [accessed 2015 June 30] Volume.2(2):80-100

Holistic Health Care

総合的な心身の健康を志向するサンスターの全方位的なアプローチです。Holistic Health Careでは、日常生活のあらゆる面にわたって一貫したアプローチを行います。当社の社名が示すとおり、サンスターは、朝、太陽が昇ってから、夜になり星が出るまで、一日を通じてお客様をサポートします。